透湿性の低いビニールクロスや接着剤を含有する新建材で建てた高気密の家では、揮発性のシックハウスガスを屋外に排出し結露を抑制するために24時間強制換気が法律で義務化されました。
そして、無垢材や透湿性建材で造った高気密※の健康住宅は本来24時間強制換気は必要ないのですが、健康住宅までも義務化されました。
結露を気にしなければ、高気密※の健康住宅では膨大なシックハウスガスは発生しないので、窓を時々少し開け新鮮な空気を取り込む自然換気で十分です。
※高気密と言うと空気も水蒸気(湿気)も通さないと思いがちですが、実は、水蒸気の分子は酸素・二酸化炭素・窒素などの空気の主要分子より格段に小さいのです。そのため、空気は通さず水蒸気は透過させる高気密住宅が可能となります。一例として、デュポン社の「タイベック透湿防水シート」で家全体を密閉するなどが挙げられます。(以上、11月13日ブログ「換気遍」の要約)
今回は、結露を無くす本命である透湿性能と調湿性能についてお話します。
透湿性能はダムの放流水のようなものです。
頻繁に発生する微細な結露を気化して室外に放出します。
相対湿度が高い状態で冷暖房すると温度差で結露が多かれ少なかれ発生します。
家の外壁や内壁に透湿性のある建材(漆喰、珪藻土、ホタテ貝塗料、和紙等)を使用すると、初期段階の微細な結露は透湿性建材が有する毛細管現象で散らばり直ぐに気化します。
間違っても、透湿しないビニールクロスは使わないことです。透湿性のない撥水面には表面張力で結露同士が結合し気化するのが困難になります。そして、次期にカビ(万病の元)が発生します。
一方、調湿性能は、湿気を一時的に溜めるダムのような機能です。
人体や調理、お風呂等の生活活動から生じる大量の水蒸気を調湿ダムで一時的に吸収し、室内が乾燥する時(冬季の暖房OFF時等)に水蒸気を放出したり、壁が太陽光で加熱される時(夏の昼間)に気化熱で部屋を涼しくしたりします。
調湿する建材としては、構造材やフローリング材に使われる無垢の木材(無垢材)が筆頭に挙げられます。
無垢材は、新建材(接着剤で張り合わせた合板など)に比べれば格段の調湿性能を持っていますが、それでも高気密住宅では24時間強制換気をしないと窓辺の結露を防ぐのは難しいと思います。
また、調湿材としては床下に敷設する木炭や内壁に塗る珪藻土が有名ですが力不足です。
珪藻土は平面的な調湿力しかありませんし、木炭は主に床下に使われるので太陽熱等で乾燥させないと吸湿性能は十分に復元できません。仮に復元できたとしても、床下では室内の湿気を吸収することができません。
それでは、高気密住宅で24時間強制換気をしなくても結露を防ぐことができる調湿性能に秀でた建材とは?
そうです。無垢材を凌ぐ調湿性能を持った建材は、今のところ木質系繊維を綿状にほぐしたセルロースファイバー断熱材以外にありません。(つづく)
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