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今回は、2019年1月8日付けブログでご報告した千葉県にお住まいのトレーラーハウスのお客様の結露実験第二弾です。
前回は、広大なお土地に設置されたご自分のトレーラーハウスにセルロースファイバーで断熱施工をした場合の結露発生を検証する緻密な実験をされました。
第一弾の実験ではセルロースファイバーの吹込み口を塞いだゴム栓の周りに結露が発生してセルロースファイバーが湿って色が濃くなっていたことから、ジュラルミンに幅広の当て木を添えて壁厚を45㎜から倍増すことで、セルロースファイバーの吹込み厚を増やすことを検討されるようです。
セルロースファイバーの吹込み口を塞いだゴム栓の周りに結露が発生してセルロースファイバーが湿って色が濃くなっていた。
そこで今回は、ご自宅のマンションで結露の発生しやすい北側の窓のアルミサッシをトレーラーハウスのジュラルミンに見立て、桧の板(15㎜厚)を当て木に見立てて接触面に結露しないか検証されました。
結果は、アルミフレーム部だけの面には結露が発生していたにもかかわらず、桧の板が接触していた面には結露は発生しませんでした。
以下は、お客様から頂いた画像とコメントです。
(前夜にご自宅のマンション北側のアルミサッシ枠に15㎜厚の桧の板を置いて実験開始です)
翌朝お客様が観察した結果は、「桧の板の裏側は反り軽減と接着剤の逃げ用に凹凸があるので、アルミサッシに接していない箇所もあり空気の流れができるので、部分的に結露すると思われましたが結露せず、板自体は濡れていない」とのことでした。
①周りがお隣さんに囲まれたマンションなので窓を閉めて2時間程で暖房を付けなくてもリビングは調理の熱などで17℃になるそうです。北側の部屋も窓を閉めて2時間位で室内温度&湿度は12.3℃&77%に上昇しました。
④翌朝、桧の板の左右両脇のアルミサッシ面に結露が発生しています。この時の露点温度は9.4℃とのことでした。
⑥桧の板が接していないアルミフレーム部の温度は露点温度9.4℃より低い7.9℃なので結露が発生しました。
②この時のアルミサッシの温度は9.3℃です。
③予めアルミサッシの結露をふき取って桧の板を設置して実験開始です。
⑤翌朝の室内温度&湿度は12.6℃&81%です。
⑦アルミサッシと接触していた桧の板の裏側の温度は露点温度と同じ9.4℃でした。
⑧桧の板が接触していたアルミサッシ面の温度は露点9.4℃より低い6.8℃ですが結露は発生していません!
私が意外に思ったのは、以下の2点でした。
①翌朝測定した桧の板の裏側温度が9.4℃なのに檜と接していたアルミサッシ面の温度は6.8℃と、結露したアルミサッシ面の温度7.9℃より低いこと。
②桧の板が接していたアルミサッシ面の温度は、露点温度9.4℃より低い6.8℃だったにもかかわらず結露しなかったこと。
以上の2点は、以下のように解釈できると思います。
1. 桧の板がアルミサッシ面と接触していた隙間部は結露と蒸発が拮抗していたと思われますが、結果的に蒸発と吸湿が優っていたので結露しなかった。
2. 結露したアルミサッシむき出しの面は、結露が室内の熱を吸収したので6.8℃より1.1℃高い7.9℃になった。
3. 桧の板が接触していたアルミサッシ面は、桧の板が断熱と吸湿をしたので外気の低温がアルミサッシの室内側表面まである程度伝わった。そのためアルミサッシ結露面の7.9℃より1.1℃低い6.8℃になった。
以上1.2.3.の考察を踏まえると、例えばセルロースファイバーを90㎜厚で吹き込んだ場合は、15㎜厚の桧の板に比べて断熱性能と調湿性能は格段に高いのでトレーラーハウスのジュラルミン部には結露は発生しにくいと思います。
でも、お客様は、少しの結露でも長期間続いた時にセルロースファイバーが濡れて沈下することをご心配されていましたので、今回の実験でそのような状態にならないことを明確に証明することができませんでしたが...
私が思うに、万が一セルロースファイバーが濡れたとしても乾かす条件を整えればセルロースファイバーは元の状態に戻るので、結露が発生しやすい冬と夏は以下の工夫をすれば恐るるに足らずと思うのですが...
冬)煖房は水蒸気を発生しないエアコンなどの電気暖房を使用して、調理やお風呂の蒸気は換気扇で排出する。
でも、冬の室内で発生する水蒸気の量は躯体を腐らせるほど多くないと思います。
どちらかというと冬の室内は過乾燥の方が気になるくらいです。
換気や暖房をそんなに気にしなくてもセルロースファイバーの調湿機能が程よい湿度を維持してくれると思います。
夏)冷房を長時間つけず、窓を開けて外気をなるべく取り込む。
冷房で冷やされた外壁内部に外気の湿った空気が無尽蔵に結露するので冬の結露より夏の結露の方が厄介です。
太陽の熱で外壁内部に発生した結露を蒸発させられれば問題ないと思いますが...
結露の発生原理は、湿度と温度の高い方の面(温度の低い方の裏面)で水蒸気が飽和状態になって結露が発生します。
住宅の敷地がジメジメ湿っていたり、北側など日の当たらない場所では結露は蒸発しにくくなるので特に注意が必要です。
上述の「結露の発生原理」を覚えておけば、臨機応変に結露対策ができると思います。
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